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朔が満ちる


著者:窪美澄/著
価格:1,700円+税
刊行日:2021/07/07

出版社:朝日新聞出版
ISBN:978-4-02-251767-8
Cコード:0093
[単行本](日本文学、小説・物語)


内容紹介

かつて中学1年の時に僕は、酒を飲む度に荒れる父親に手を焼き、遂に斧で殴りかかって殺そうとしたことがある──心に傷を負ったまま家族とも離れ、悪夢のような記憶とともに生きていく史也。荒んだ生活の中で、看護師の千尋との出会いから、徐々に自身の過去に向き合おうとする──これは「決別」と「再生」の物語。

サバイブ、したのか? 俺ら。
家族という戦場から――
家庭内暴力を振るい続ける父親を殺そうとした過去を封印し、孤独に生きる文也。
ある日、出会った女性・梓からも、自分と同じ匂いを感じた――
家族を「暴力」で棄損された二人の、これは「決別」と「再生」の物語。

父へ、母へ、
この憎しみが消える日は来るのだろうか。

酒を飲んでは暴れ、家族に暴力をふるう父に対して僕には明確な殺意がある。
十三歳で刑罰に問われないことは知ってはいるが、僕が父を殺せば、もう母とも妹とも暮らすことはできないだろう。それがわかっていても僕は父を殺そうとしている。自分のなかに黒い炎を噴き出す龍が住んでいる。いつそれが自分のなかから生まれたのかわからない。龍は僕に命令した。今だ、と。         (本文より)