genkai-shobo.jp

十代目金原亭馬生 東横落語会 CDブック


著者:「落語昭和の名人」編集部/編集
価格:35,000円+税
刊行日:2021/03/15

出版社:小学館
ISBN:978-4-09-480128-6
Cコード:0895
[磁性媒体など](日本文学、評論、随筆、その他)

CD20枚と愛蔵本104頁のセット。馬生の東横落語会音源から厳選した50席を収録。うち46席が初商品化となります。音源はすべてテープから新規にデジタルリマスター。馬生の面目を一新するCDブックです。



内容紹介

馬生の真髄に迫る50席、初出し46席!

父・志ん生と弟・志ん朝。ふたりの名人にはさまれて、馬生の姿は長らく霞んでいました。世に出た音源はふたりに比べて少なく、偏った印象がひとり歩きしています。名人が顔を揃えた東横落語会で、テープに残された馬生音源は100席以上。愛弟子の五街道雲助師と、録音エンジニアの草柳俊一氏が選定にあたり、初商品化46席を含む50席を、CD20枚に収めました。

馬生の口演をこれだけの規模で集成するのは、過去に例がありません。墨絵のようにしっとり語り上げる『お初徳兵衛』『お富与三郎』『夢の瀬川』。漫画的なデフォルメの効いた『あくび指南』『垂乳根』。恨みや絶望を深くえぐる『江島屋』『豊志賀』。滑稽の極みから人情噺まで、幅広い演目をひとりの噺家が演じて、他の追随を許さないという事実に、スタッフ一同、驚きを禁じ得ませんでした。志ん生とも志ん朝とも異なる、深い人間理解に基づく語り口は、聴いたあとに深い余韻を残します。

商品化にあたっては、全音源をテープから新たにデジタル・マスタリング。大ホールを沸かせた馬生の本領が、臨場感たっぷりによみがえります。没後38年、瞠目するなら今、です。

【編集担当からのおすすめ情報】
企画にあたって、東横落語会に残された100席以上の音源を、繰り返し聴き込みました。そして聴くほどに、「淡々として美しい」従来の馬生のイメージが塗り替えられていきました。そうして選ばれたのが、下記の50席です。

【収録音源一覧(公演順)】
★=初商品化音源 ☆=初商品化演目
三軒長屋★ 昭和44年10月28日/第106回東横落語会
つづら★ 昭和44年10月28日/第106回
溲瓶★ 昭和47年2月28日/第134回
花筏★ 昭和49年2月27日/第158回
花見の仇討★ 昭和49年4月30日/第160回
大坂屋花鳥★ 昭和49年5月31日/第161回
文七元結★ 昭和49年8月30日/第164回
今戸の狐★ 昭和50年1月28日/第169回
狸賽★ 昭和50年4月28日/第172回
垂乳根★☆ 昭和50年5月30日/第173回
たがや★ 昭和50年6月27日/第174回
酢豆腐★ 昭和50年8月29日/第176回
笠碁★ 昭和50年9月29日/第177回
柳田格之進★ 昭和50年10月31日/第178回
死ぬなら今★☆ 昭和50年12月28日/第180回
首ったけ★ 昭和50年12月28日/第180回
妾馬(八五郎出世)★ 昭和51年1月30日/第181回
辰巳の辻占★ 昭和51年3月29日/第183回
千両蜜柑★ 昭和51年8月30日/第188回
目黒のさんま★ 昭和51年11月30日/第191回
湯屋番★☆ 昭和51年12月28日/第192回
もう半分★ 昭和51年12月28日/第192回
ざる屋★ 昭和52年1月31日/第193回
お富与三郎~島抜け★ 昭和52年2月28日/第194回
長屋の花見★ 昭和52年4月27日/第196回
明烏★ 昭和52年5月30日/第197回
真景累ヶ淵~豊志賀★ 昭和52年7月29日/第199回
お見立て 昭和52年8月30日/第200回
王子の狐★ 昭和52年8月30日/第200回
青菜 昭和53年7月31日/第211回
そば清★ 昭和53年8月30日/第212回
干物箱★ 昭和53年9月29日/第213回
肥瓶★☆ 昭和53年11月29日/第215回
鰍沢 昭和54年1月31日/第217回
お富与三郎~与三郎の死★ 昭和54年6月29日/第222回
お血脈★ 昭和54年7月30日/第223回
あくび指南★ 昭和54年9月28日/第225回
幾代餅★ 昭和54年11月30日/第227回
替り目★ 昭和55年1月30日/第229回
百年目★☆ 昭和55年3月24日/第231回
牡丹灯籠~忠僕孝助★☆ 昭和55年7月29日/第235回
天狗裁き★ 昭和55年8月27日/第236回
道具屋★ 昭和55年11月28日/第239回
うどん屋★ 昭和55年12月29日/第240回
夢の瀬川★☆ 昭和56年1月27日/第241回
江島屋★☆ 昭和56年2月27日/第242回
紀州★ 昭和56年4月27日/第244回
らくだ 昭和56年6月29日/第246回
お初徳兵衛★ 昭和56年8月31日/第248回
文違い★ 昭和56年12月29日/第252回

個人的にとくに驚いたのが、演目自体が初商品化となる『垂乳根』『肥瓶』『湯屋番』です。独特のクスグリがてんこ盛りなうえに、無責任で飄々とした人物像がいかにも落語的。もちろん、人情噺の素晴らしさも想像以上。『お初徳兵衛』や『豊志賀』のラストシーンには、画家になりたかったという馬生の素養がよく表れています。『お富与三郎~島抜け』のラストに至っては、パノラマ映画のエンディングのよう。

でも数ある好演をさしおいて、もっとも聴いていただきたいのは晩年の『江島屋』です。ひとり娘を失い、お金にも食べ物にも興味を示さず、ただひたすら江島屋への復讐のために生きる。老婆の底なしの絶望が、聴く者を震撼させます。親の七光りと陰口された境遇を乗り越えて、馬生が到達したひとつの極点かもしれません。

【初回出荷特典も東横からの蔵出し】
初回出荷特典として、東横落語会から蔵出し音源2席を収録したCDが付きます。1席は『お楽しみ連鎖落語・早桶屋』(昭和49年12月28日/第168回)。馬生の語る『早桶屋(付き馬)』がラストで芝居仕立てになり、小さんが早桶屋のおやじ、圓生が吉原の若い者として登場。絶妙な配役が爆笑を誘います。東横の年末企画ならではの豪華キャストです。もう1席は『二番煎じ』(昭和52年12月28日/第204回)。出来は抜群なのですが、1か所だけ大きな言い間違いがあり、それを直さずそのまま押し切っているという、いかにも馬生らしい口演です。1月17日までに書店(ネット書店含む)にてご予約いただければ、この特典盤CDも確実に入手いただけます。

つい話が長くなりました。あとは実際に音源を聴いていただくしかありません。馬生の生涯やお弟子さんの証言、池波志乃さんら三人の実娘の鼎談をまとめた愛蔵本とともに、たっぷりとお楽しみください。