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10代の脳 反抗期と思春期の子どもにどう対処するか


著者:フランシス・ジェンセン/著 野中香方子/翻訳 エイミー・エリス・ナット/著
価格:1,700円+税
刊行日:2015/12

出版社:文藝春秋
ISBN:978-4-16-390382-8
Cコード:0098
[単行本](外国文学、その他)

可愛かったあの子が、「死ね」と豹変する反抗期。この10年で進んだ10代の脳の最新研究が、思春期への接し方を変える。



内容紹介

これまでは甘えてきて天使のようだった子どもが、豹変する思春期。暴言を吐き、タバコや酒に手を出し、信じられないような衝動的なことをしてケガをしたりする。子どもに「ウザい」「死ね」と言われて、自分の子育てや人生は何だったのかと途方にくれ、何が間違っていたのか、と自分を責める。そんな苦しい思いをしている方も多いだろう。それは育児が間違っていたからではなく、子どもの脳が成長するなかでの必然だとしたら?実は、脳研究では乳幼児と高齢者ばかりが取り上げられ、10代はあまり研究されてこなかった。小学校に入るころには脳は完成する、と科学者も思いこんでいた。しかしこの10年、10代の脳の研究が大きく進み、その時期にはまだ脳はまったくできあがっていないとわかってきた。それが、思春期特有の数々の問題の大きな原因だったのだ。だが、このことは一般にはまだほとんど知られていない。著者ジェンセン博士は、小児科医・脳科学者であり、自身もシングルマザーとしてふたりの男児を育て、思春期を乗り越えてきた。科学者と親の両方の立場から、10代の脳の新たな知識を伝え、それに基づいて思春期の育児に悩む親にアドバイスするために書かれたのが、本書だ。・脳は30歳ころまで完成しない・10代は脳が新しいことを覚える学習能力の黄金期・しかし感情を司る部分や、リスクを推し量り行動をコントロールする部分は未成熟・フル回転する脳を制御しきれないために、キレやすい、中毒になりやすい、がまんがきかない、といった特有の問題が起きるこうしたことを知った上で、具体的にどう子どもに接したらいいのかを、ジェンセン博士が真摯にアドバイスする。ひとりでも多くの悩める親に、ぜひ手に取ってほしい。日本版では、専門機関へ行くべき問題行動と、親が対処できる行動について、40年以上にわたり、毎年数千人の子どもを診てきた元慶應大学病院小児科の児童精神科医、渡辺久子先生が解説を特別寄稿する。[目次]序 文 悪いのは親でも子どもでもない可愛かった我が子が突如別人のようになる反抗期。脳科学を学び、小児病院とハーバードで医師として働いていたわたしの息子たちも同じだった。それは子育ての問題? いいえ、原因は「脳」にある第1章 ホルモンのせいなのか?子どもでもおとなでもない10代の激しい変化の原因によく挙げられるホルモン。けれどこれから紹介するようにこの10年で思春期の脳の研究は飛躍的に進み、それは脳の変革のごく一部とわかってきた第2章 10代の脳は未完成昔は10代で脳は完成すると思われていた。だが実は、10代の脳は判断・知性を担う「前頭葉」や感情を担う「扁桃体」がまだ未熟。こうした近年の知識をもとに、思春期にどう向き合うか考えていこう第3章 若い脳細胞は連絡不足青年期の脳がすぐパニックになるのは解剖学的な理由がある。それは脳細胞「ニューロン」のつながりが、20代でも完成しないから。わたしが母として出会った数々の思春期の事件は、そのいい例だ第4章 IQも変化させる脳の黄金期脳は環境で変化する。反抗期も親のせいではなく、脳が特別な成長段階だから。IQさえ変わる猛烈な学習能力と、制御不能の大混乱をあわせ持つ脳を親が導く方法を、科学者・母としてお伝えしよう第5章 寝る脳は育つ思春期の「宵っ張りの朝寝坊」の科学的理由とは。徹夜勉強より、寝不足解消や、始業時間を遅らす方が成績が上がること、寝不足の意外な害も発見された。子どもの睡眠のために親ができることは?第6章 反抗期の脳はそれを我慢できない危険運転、ドラッグ、セックス。なぜ若者は少し考えればバカらしいとわかる衝動に負けて、無鉄砲なことをするのか。若い脳は快楽中枢が過敏で、リスクを顧みず目先のごほうびを選んでしまうのだ第7章 タバコ1本、中毒のもと10代の喫煙の害は肺がんだけではない。若く過敏な脳はタバコ1本で中毒が始まり、IQ低下やアルコール依存にもつながる。まず親がこうした新しい知識を知ろう。そして子どもに伝え、助言しよう第8章 10代の酒は百害の長全米の10代の1000万人以上に飲酒経験がある。若い脳は二日酔いに強いように見えるが、本当は脆弱で少しの酒でもダメージを受け、記憶力が低下する。その危険を訴え、飲酒を防げるのは親だけ第9章 大麻「ダメ、ゼッタイ」の科学的理由大麻の影響は大したことがないという根強い説の間違いが証明されつつある。特に10代の使用者の脳には、記憶障害、IQ低下、精神疾患の危険まであるという。科学から目を背けず、子どもを守ろう第10章 危険ドラッグが危険なゆえんMDMA、コカイン、スピード……日本でも規制をかいくぐり、流行する危険ドラッグ。若い脳はおとなよりも速く、強く中毒になり、死に至ることさえある。親が薬物乱用の兆候に気づくためには?第11章 脳をかき乱すストレスに要注意子どもの感情の爆発はどこまで正常でどこから問題か? 脳の記憶を担う海馬や感情を担う扁桃体には、ストレスやトラウマが大きく影響する。このダメージからの回復には、やはり親の存在が重要第12章 精神疾患の危険信号不安障害、抑鬱、統合失調症。精神疾患は10代での発症が多い。原因の一つは感情を司る扁桃体。普通の気分の揺れと精神疾患の危険信号を見分けるには、親が知識をもって子どもを見守る必要がある第13章 デジタル中毒の脳内汚染24時間デジタル機器を使わない実験に参加した若者の感想は恐ろしいものだった。それだけではない。ゲーム中毒者の脳を検査すると、萎縮、つながりの不足など、薬物中毒との共通点が見つかるという第14章 「女子脳」「男子脳」の神話と事実青年期の脳には、構造や機能の男女差が確かに存在する。でも注意力散漫な男子、数学が苦手な女子、と決めつけて、おとながその将来を限定するのは誤り。教育にも性差をうまく反映すればいいのだ第15章 スポーツでの脳震盪は侮れない健康のためのスポーツにも脳にとっての落とし穴が。サッカー、アメフト……接触プレーで頭に衝撃を受けると、軽症に見えても想像以上に危険な脳震盪が起き、脳細胞が損傷して後遺症につながる第16章 未成年の罪と罰青年期の脳はおとなと違う。では犯罪への罰も違うべきでは? 未成年犯罪者に苛酷な量刑を科す唯一の先進国アメリカで、わたしが科学者として法廷に助言書を出し、法が見直された経緯を語る第17章 青年期を越えても、成長は終わらない大学を出て20代になっても脳の成長は続く。その時期の研究は始まったばかり。彼らの学習能力がピークなのかさらに伸びていくのか、答えはまだ出ない。親がすべきこと、それは注意深く見守ること解 説 親が対応できる問題、専門機関に相談すべき問題(元慶應大学病院小児科 渡辺久子)