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平凡社新書
平凡社新書

学校に入り込むニセ科学


著者:左巻健男/著
価格:840円+税
刊行日:2019/11

出版社:平凡社
ISBN:978-4-582-85925-6
Cコード:0240
[新書](自然科学総記)

エセ科学を広める教育団体、EM菌、水からの伝言……教師や生徒の善意を悪用し、学校教育に侵入するニセ科学を第一人者が一刀両断。



内容紹介

『水からの伝言』、EM菌、ゲーム脳、親学、右脳型と左脳型、白砂糖有害論……。一見科学的な装いをしながら、実際には科学的な根拠はなく、教員や生徒の「善意」を利用して勢力拡大を目論むニセ科学。そのオカルトまがいの言説はいま、学校教育の土台を揺るがすところまで来ている──。ニセ科学の危険性に警鐘を鳴らし続けてきた第一人者が、学校に侵入する怪しげなニセ科学を一刀両断。

もくじ

《目次》
はじめに

第1章 ニセ科学はなぜ危険か
1 科学を学ぶことの意味
理科を学ぶ重要性/学校は文化の総体を次世代に伝えるところ
2 ニセ科学と教育
ニセ科学にだまされないことも理科教育の目的/戦後教育の出発点
3 ニセ科学と教員
ニセ科学に引っかかりやすいタイプの人/ニセ科学にだまされる教員たち
4 人間ピラミッドに見る感動主義
組体操による事故/組体操事故に対する国の対応

第2章 ニセ科学に危機感を持った『水からの伝言』
1 言葉で水の結晶が変わる?
『水からの伝言』との出会い/「水伝」のでたらめな内容/国会議員や教育者にも浸透する「水伝」/どのように結晶写真を撮ったか?/「水伝」への科学者の対応/教育現場がおかしくなっている/「水伝」授業の例
2 「水伝」を否定的に扱ったテレビ
VOICEの「水伝」ご飯バージョンの実験/ミヤネ屋の「校長が教える仰天科学」/田崎晴明さんの“「水からの伝言」を信じないでください”

第3章 学校や環境活動に忍び込むEM
1 EMとは?
2 EM利用中止を求める署名活動
3 文部科学省の見解は「補助教材」
4 EMの三大危険性
5 EMの授業例
TOSS代表・向山氏のEMの授業例/EMが原発事故に成果ありという指導案も/スーパーサイエンスハイスクールの事例
6 EM信者の校長によるEM使用例
7 比嘉氏のEM神様説を支える科学者
「EMの本質的な効果は縦波重力波」/電波工学の世界的な権威/光の何十桁も速い「念波・天波」/関氏に影響を与えた人々/関氏の宇宙構造論/「太陽の表面は26℃で人が住んでいる」/関氏を信じた比嘉氏、比嘉氏を信じた向山氏

第4章 学校にニセ科学を持ち込んだ右翼教育団体
TOSSの前身「教育技術の法則化運動」/教育技術の法則化運動の理科に注文/向山氏は自分を教祖化していた/教育技術の法則化運動はTOSSに衣替え/TOSSから離れた教員/向山氏は教育系右翼

第5章 脳をめぐるニセ科学
1 脳についての知識
人の大脳皮質の領域マップ/脳波とは?/脳を調べる新しい技術の進展
2 「神経神話」に注意
神話1「私たちは脳の10%しか利用していない」/神話2「右脳型の人と左脳型の人がいる」/神話3「脳に重要なすべては3歳までに決定される」
3 「親学」の「脳科学」はニセ医学・ニセ科学
4 ゲームをやりすぎると「ゲーム脳」になる?
ウソだらけの「ゲーム脳」/TOSSランドのゲーム脳の授業
5 「ヘビの脳 ・ネコの脳 ・ヒトの脳」といじめ
6 「悪いこと」で「脳から毒」?
7 『脳内革命』に影響された授業
8 「脳トレ」は効果があるのか?

第6章 食育をめぐるニセ科学
世界で長寿トップグループの日本/食生活が寿命をのばした!/「粗食」を勧める授業/日本は病気大国、肉食が原因と脅す授業/和食を勧めるために腸の写真で子どもたちを脅す/白砂糖有害論/天然物、無添加食品でもかかえる4つのリスク/「無添加」は安全か?/天然農薬の存在と「奇跡のリンゴ」/根拠のない話で脅かす食育

第7章 子どもたちを原発の旗振り役に──エネルギー・環境教育
福島第一原発事故/回収された小・中学生向け原発副読本/国民の原発アレルギーをなくすための原子力教育/民間でも原子力教育を推進/原子力ポスターコンクールで安全神話を洗脳/TOSS向山洋一氏座長のエネルギー教育全国協議会/TOSSランドにあった原発推進の指導案例

第8章 他にもいろいろニセ科学
現代人が創作した「江戸しぐさ」が「道徳」の教材に/副教材に改ざんグラフを使った文部科学省/オオカミに育てられた少女?/学校で未習の答えだと×/理科入試問題の正答が間違っている/かけ算の順序強制問題

第9章 ニセ科学にだまされないようにするために
ニセ科学は科学への信頼を利用してだます/問題は教育の土台を崩すこと/問われる科学リテラシー/「私たちはだまされるのが普通である」ことを知る/認知バイアスの中でとくに知っておきたい「確証バイアス」とは?/日ごろからニセ科学にだまされないセンスを!

あとがき

左巻 健男

1949年、栃木県生まれ。千葉大学教育学部卒。東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。専門は理科教育。東京大学教育学部附属中学校・高等学校教諭、京都工芸繊維大学教授、同志社女子大学教授、法政大学教授などを歴任。「RikaTan(理科の探検)」編集長。著書に『水はなんにも知らないよ』(ディスカヴァー携書)、『病気になるサプリ』(幻冬舎新書)、『面白くて眠れなくなる理科』『面白くて眠れなくなる化学』(以上、PHP文庫)、『水の常識ウソホント77』『暮らしのなかのニセ科学』(平凡社新書)など多数。