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誰も正常ではない

スティグマは作られ、作り変えられる

著者:ロイ・リチャード・グリンカー/著 高橋洋/翻訳
価格:4,400円+税
刊行日:2022/05/11 [ calendar_today Google ] [ calendar_today Yahoo! ]
出版社:みすず書房
ISBN:978-4-622-09091-5
Cコード:0011
[単行本](心理(学))

精神病者や障害者に対するスティグマが、時勢や文化に応じ、いかに繰り返し再構築されてきたか。心理人類学の視点で建設的に見直す。



内容紹介

正常・異常をめぐるスティグマは、ただ漫然と生じたものではない。科学や医学はつねに権威をもって「異常」とすべきもののカテゴリーを作りだし、それはコミュニティを通して社会的・文化的に学習されてきた。本書はおもに精神疾患や発達障害のスティグマを中心に、スティグマが構築と再構築を重ねてきた変遷の力学を、18世紀以降、複数の戦時期を経て、高度に経済化した今日の社会に至るまでたどる。
しかし、だからこそスティグマとは本質的に、私たちの手で流れを変えうる「プロセス」であると著者は言う。汚辱や秘匿がいまだに残っている一方で、もはや「誰も正常ではない」と言えるほど、正常者・異常者を語るスティグマはその足場を失い、心身の障害を人間の多様性の一部として受け容れる潮流こそが勢いを集めつつある。
資本主義、戦争、身体‐心という三本の軸に沿って、本書は構成されている。著者は文化人類学者ならではの視点で、近年の「生物医学」化や、PTSD概念の功罪、非西欧的な価値観にも触れながら、歴史を多角的に描き出すことに成功している。
加えて、いずれもアメリカ精神医学界のキーパーソンであった著者の曾祖父、祖父、父、そして自閉症の娘をもつ著者自身という、四世代の個人の視点からミクロに捉えた史実が織り込まれているのも、本書のユニークな趣向だ。

もくじ

はじめに──ベドラムから戻る道

第I部 資本主義
第1章 「自立」のイデオロギー
第2章 精神病の発明
第3章 分裂した身体──性と分類
第4章 分裂した心

第II部 戦争
第5章 戦争のさまざまな帰結
第6章 祖父がフロイトから得たもの
第7章 戦争はやさし
第8章 ノーマとノーマン
第9章 忘れられた戦争からベトナム戦争へ
第10章 心的外傷後ストレス障害
第11章 病気の予期

第III部 身体と心
第12章 病気の可視化
第13章 他のどんな病気とも変わらない病気?
第14章 ECTという魔法の杖
第15章 心について話す身体
第16章 ネパールで身体と心の橋渡しをする
第17章 リスクを負うことの尊厳

結論──スペクトラムについて

謝辞
訳者あとがき
原注
索引

ロイ・リチャード・グリンカー

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ジョージワシントン大学、自閉症 & 神経発達障害研究所教授。文化人類学者。エスノグラフィー研究所ディレクター。Anthropological Quarterly誌主幹。専門はエスニシティー、ナショナリズム、心理人類学、スティグマ、自閉症など。心理人類学者としてはおもにアフリカ(コンゴ民主共和国など)・韓国をフィールドとし、韓国において自閉症に関する初の疫学的調査を行った(Kim, Y. S. et al., “Prevalence of autism spectrum disorders in a total population sample,” American Journal of Psychiatry, 168(90): 904-912. [Nature誌が2011年のEditor’s Choiceに選出])。著書に、Unstrange Minds: Remapping the World of Autism (Basic Book, 2007)(『自閉症──ありのままに生きる:未知なる心に寄り添い未知ではない心に』佐藤美奈子・神尾陽子・黒田美保訳、星和書店、2016年)ほか。

高橋洋

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(たかはし・ひろし) 同志社大学文学部卒。IT企業勤務を経て翻訳家。訳書に、ブルーム『反共感論』(2018)、ダマシオ『進化の意外な順序』(2019)(以上、白揚社)、ドイジ『脳はいかに治癒をもたらすか』(2016)、メイヤー『腸と脳』(2018)、バレット『情動はこうしてつくられる』(2019)(以上、紀伊國屋書店)、カンデル『なぜ脳はアートがわかるのか』(青土社、2019)、ほか多数。

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