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生と死を分ける数学

人生の(ほぼ)すべてに数学が関係するわけ

著者:キット・イェーツ/著 冨永星/翻訳
価格:2,200円+税
刊行日:2020/09/30

出版社:草思社
ISBN:978-4-7942-2470-5
Cコード:0041
[単行本](数学)


内容紹介

感染症の蔓延から検査の偽陽性・偽陰性、
ブラック・ライブズ・マター運動や刑事裁判のDNA鑑定、結婚相手選びまで。
重大事のウラに、数学あり。

数学は、あなたの人生のそこかしこに入り込んで、生殺与奪の権利を握っている。
生きるも死ぬも、数学次第なのだ。
実際、数学を知らないために、あるいは数学を誤用したために、
命を落としたり、財産を失ったり、無実の罪を着せられたりした例が、どれほど多いことか。
逆に、簡単な数学を少し使えるだけで、マスコミや政治家の嘘を見破ったり、
詐欺に巻き込まれるのを防いだり、健康診断の結果を正しく理解したりできるようになる。
さらには、理想の結婚相手を選ぶのにも役立つかも……。
数理生物学者でもある気鋭の数学ライターが、数々の事例を紹介しながら、
あなたの人生と数学の関係を解説する。


○乳がん検診で「再検査」と言われたら心配すべき?
○蔓延を抑えるワクチン。人口の何%に打てばいい?
○「加工肉で大腸がんリスクが1.2倍」心配すべき?
○最良の相手と結婚するなら何人目まで見送るか?
○2進法と10進法の変換による「丸め誤差」で戦死
○DNA鑑定の一致確率「300万分の1」は信頼性十分?
○実は、平均寿命よりも長生きする人のほうが多い
……内容より

もくじ

●はじめに ほぼすべての裏に数学が

●第1章 指数的な変化を考える
★指数的な振る舞いの恐ろしいまでの威力を活用し、その限界を冷静に見定める
◎1万人を倍々に15回増やしたら……
◎バクテリアは48時間で何倍になる?
◎銀行の利子と「持ちつ持たれつ」詐欺の仕組み
◎指数的に細胞数を増やす受精卵
◎指数的増加を利用した核爆弾
◎指数的増加の制御とその失敗――原子力発電
◎放射性年代測定には指数的減少が使われている
◎バイラル・マーケティングも指数的
◎科学技術の進歩も指数的か
◎人口も指数的に増加するか
◎年を取るほど時間が速く過ぎる理由

●第2章 感度と特異度とセカンド・オピニオン
★なぜ数学が医療に大きな違いをもたらすのか
◎健康診断や遺伝子検査の裏にも数学がある
◎「病気のオッズ」の求め方
◎BMIは健康リスク評価に役立たない?
◎新薬が価格に見合うか判定する「神の方程式」
◎誤った警報を減らす数学的解決法
◎乳がん検診で「再検査」になったら心配すべきか
◎医療検査につきまとう「確かさという幻想」
◎検査は1つより2つ受けたほうがよい

●第3章 法廷の数学
★刑事裁判における数学の役割を調べる
◎1人なら事故で、2人なら殺人なのか
◎誤った「数学」で流刑の憂き目に――ドレフュス事件
◎「推定有罪」がまかり通る日本の司法
◎サリー・クラーク事件の裁判のなりゆき
◎その2つの出来事は独立か、独立でないか
◎生態学的誤謬――平均寿命より長寿な人が多い?
◎検察の誤謬――有罪の確率が見た目より低い場合
◎弱い証拠を2つ集めると強力な証拠になる?
◎それはほんとうに数学の問題か、疑うべし

●第4章 真実を信じるな
★メディアの統計の嘘を曝く
◎鵜呑みにできない「真実」が声高に語られている
◎誕生日問題――頻繁に起きる「ありえない一致」
◎数字で示されていても信用できるとは限らない
◎標本抽出の偏りで大統領選の予測が大ハズレ
◎「黒人の命は軽くない」への反論の数学的嘘
◎「加工肉でがんリスク上昇」報道の数学的からくり
◎医療研究でも使われる、数字の印象をよくする手法
◎多くの人を惑わせる「平均への回帰」の正体
◎統計の嘘に騙されないために

●第5章 小数点や単位がもたらす災難
★わたしたちが使っている記数法、その進化と期待外れな点と
◎桁違いのミスの致命的影響
◎位取り表記のありがたみを再確認
◎時間の表記と分割をめぐる混乱の歴史
◎12進法は10進法より優れていると主張する人たち
◎ヤード・ポンド法とメートル法のあいだのトラブル
◎ミレニアム・バグのせいで発生した偽陰性の悲劇
◎2進法から10進法への変換誤差のせいで戦死

●第6章 飽くなき最適化
★何物にも制約を受けないアルゴリズムの威力、進化から電子商取引まで
◎アルゴリズムが危険な失敗を起こす理由
◎100万ドルの賞金がかかった数学の未解決問題
◎PvsNP――解けそうにない問題はじつは解ける問題か
◎場合によっては簡単に最適解が得られる「貪欲法」
◎生物の生存戦略を最適化アルゴリズムに取り込む
◎結婚相手選びや雇用面接に有効?――最適停止問題
◎監督者がいないアルゴリズムに起こりうること
◎アルゴリズム取引の裏をかいて市場を操作し大儲け
◎SNSのトレンドをフェイク・ニュースが占拠

●第7章 感受性保持者、感染者、隔離者
★感染拡大を阻止できるか否かはわたしたちの行動次第
◎人々を感染症から守るのに数学が役立っている
◎天然痘という疫病と初期の数理疫学
◎感染症の流行を記述する数学――S-I-Rモデル
◎S-I-Rモデルを流行の将来予測にも利用する
◎前提が誤っていると疫学モデルも誤る
◎症状がないまま病原体を他人にうつす人々
◎対策が有効か否かを疫学モデルで判別できる
◎基本再生産数と指数的爆発
◎モデルを利用して病の広がりをコントロールする
◎「集団免疫」を獲得するための数学的条件
◎根拠のない反ワクチン運動が蔓延の危険を高めた

●おわりに 数学による解脱
●謝辞

●訳者あとがき
●原注

キット・イェーツ

キット・イェーツ(Kit Yates) 英バース大学数理科学科上級講師であり同大数理生物学センターの共同ディレクター。2011年にオクスフォード大学で数学の博士号を取得。数学を使った彼の研究は胚形成からイナゴの群れ、睡眠病や卵殻の模様の形成にまでおよび、数学が現実世界のあらゆる種類の現象を説明できることを示している。とくに生物におけるランダム性の役割に関心を持っている。その数理生物学の研究は、BBCやガーディアン、テレグラフ、デイリーメール、サイエンティフィック・アメリカンなどで紹介されてきた。研究の傍ら、科学や数学の記事も執筆、サイエンスコミュニケーターとしても活動する。『生と死を分ける数学』が初めての著書。

冨永 星

冨永星(とみなが・ほし) 1955年、京都生まれ。京都大学理学部数理科学系卒業。国立国会図書館、イタリア東方学研究所図書館司書、自由の森学園教員を経て、現在は一般向けの数学啓蒙書などの翻訳に従事。訳書は、デュ・ソートイ『素数の音楽』(新潮社)、スチュアート『若き数学者への手紙』(筑摩書房)、ヘイズ『ベッドルームで群論を』(みすず書房)、マグレイン『異端の統計学 ベイズ』(草思社)、ウィルクス『1から学ぶ大人の数学教室』(早川書房)、ロヴェッリ『時間は存在しない』(NHK出版)など。