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怒りの時代

世界を覆い続ける憤怒の近現代史

著者:パンカジ・ミシュラ/著 秋山勝/翻訳
価格:3,800円+税
刊行日:2021/03/24

出版社:草思社
ISBN:978-4-7942-2483-5
Cコード:0020
[単行本](歴史総記)


内容紹介

戦争、革命、テロ、暴動、レイシズム、イスラム排斥――
世界はつねに「怒り」に覆われてきた。
18世紀の啓蒙時代・革命の時代から帝国主義、植民地、世界大戦、
そして大衆運動、無差別テロにいたるまでを、
数多の思想家、文芸家、活動家等の言説や証言をもとに詳細に検証。
進歩の旗を振る富裕層と、歴史・民族・信仰を武器に
それを否定する層との衝突と闘争が、
欧州諸国間から植民地化された非西洋世界へ、
そしてリベラリズムとそれに対抗する勢力、
ナショナリズム、ポピュリズムの拡散が止まない現在へと連綿とつながっていく。
この果てしない怒りの連鎖の深淵には何があるのか? 
先の見通せない今こそ必読の書!


1 忘れ去られた連鎖――プロローグ
2 空間を広げる――歴史の勝者と彼らの幻想
3 他者を通じてなんじを愛すこと――進歩と進歩に宿る矛盾
4 信仰の喪失――イスラム、世俗主義、そして革命
5 信仰をふたたびこの手に――解き放たれたナショナリズム、救世主へのまなざし
 Ⅰ 解き放たれたナショナリズム
 Ⅱ 救世主へのまなざし
6 真の自由と平等を求めて――ニヒリズムの遺産
7 現実を見つける――エピローグ

もくじ

1 忘れ去られた連鎖――プロローグ

 ヒトラーとムッソリーニが学んだ流儀
 グローバリゼーションとインターネット
 聖戦、ホーリーウォー、ジハード
 世界に拡散していくルサンチマン
 西欧化への無邪気な信仰
 民主主義を支える基盤の危機
 反ユダヤ主義、イスラム恐怖症、スケープゴート探し
 歴史を終わらせ、歴史を超越する
 無限の自由のなれの果て
 ニーチェの信奉者たち
 アングロアメリカへの反発

2 空間を広げる――歴史の勝者と彼らの幻想

 普遍的な進化の道という信仰
 自由市場と民主主義の勝利と矛盾
 危険と怒りに満ちた場所
 進化の代償として支払われたもの
 フランス革命と産業革命
 理性で武装した人間が神に置き換わる
 宗教とは無縁の新しい階級
 進歩とは上位者が授けるもの
 啓蒙思想に抗う者たち
 近代化の落伍者たちの憤懣
 ドストエフスキーの激しい怒り
 西欧の仲間入りを果たすこと
 自分とは異なる他者を敵に定める
 
3 他者を通じてなんじを愛すこと――進歩と進歩に宿る矛盾

 ヴォルテールのユートピア
 力ある者をねたみ、真似をする
 恵まれずないがしろにされる存在
 自己愛と自己利益をめぐる永遠の対立
 ヴォルテールの専制君主礼賛
 エカテリーナ二世と啓蒙思想家
 抽象的な理屈を好み、現実とは無縁の日々を送る
 世界市民主義に抗う民族主義
 被害者意識を扇情的に訴える
 
4 信仰の喪失――イスラム、世俗主義、そして革命

 近代が背負っている宿命
 西欧の模倣がもたらした代償
 「近代」対「その敵」という思い込み
 「西洋と東洋」、「文明の衝突」
 ひげ面とカミソリ
 人間を「文明化する」ということ
 野蛮な胴体と近代という頭部
 体制と大衆のはざまの「知識階級」
 西洋を模倣し、引き裂かれる者たち
 母国を捨てて西洋へ旅立つ
 その地ならではの文化
 暴政の空白を埋めるホメイニー
 大衆による聖なる反乱
 迷宮にまよい込むアイデンティティー

5 信仰をふたたびこの手に――解き放たれたナショナリズム、救世主へのまなざし

Ⅰ 解き放たれたナショナリズム
 顕彰される暗殺者
 ナショナリズムを掲げる国家の偶像化
 「市場の魔術」が社会を均質化する
 怒れる若きナショナリストの群れ
 ドイツ精神を体現するものを求めて
 フランスの人工的な洗練とドイツ固有の精神
 父祖神話の探求
 革命への情熱が幻滅へと変わる
 近代の病理に対抗するドイツ・ロマン派
 精神を政治化させる
 フランス人への燃えさかる憎悪
 進歩へのあせりといら立ち
 「神」にかわりしもの
 神格化されるナポレオン
 マルクスと「人類の歴史の発展法則」
 非難すべき「他者」としてのユダヤ
 ワーグナーとナショナリズム
 「民族精神」に浸り続けるドイツ人

Ⅱ 救世主へのまなざし
 ポーランド独立の詩人
 亡国の文学者たち
 ナショナリズムの司祭、マッツィーニ
 「行為によるプロパガンダ」
 超国家主義と帝国主義
 社会進化論が用意した全体主義への道
 優秀な人種が劣った人種を支配する
 「虚偽と不均衡」を見抜いたニーチェ
 「超人」にいたる道
 生か、さもなければ死
 戦争とは「道徳を育む者」である
 上海とカルカッタのマッツィーニの心酔者
 植民地インドの怒れる者たち
 ヒンドゥー教徒にふさわしい敵
 ガンディーの「罪深い」非暴力
 「ヒンドゥー王国を軍国化せよ」
 絶対的な指導者への幻想
 国民の自尊心を満たすもの
 敵を作り出すマスメディア、大衆文化
 現実離れした国家神話の再生

6 真の自由と平等を求めて――ニヒリズムの遺産

 連邦政府ビル爆破実行犯の煩悶
 一匹狼たちのルサンチマン
 罪なき人たちを殺すことについて
 さまざまな組織を結びつけてきたアナーキズム
 君主政治でも貴族政治でも、まして民主政治でもない
 意志とは無縁の「末人」たち
 すべてが灰燼に帰したのち、ようやく平和が訪れる
 「地下室」から見た世界
 やむことのない暗殺、爆弾テロ
 地下室から現れてきた者たち

7 現実を見つける――エピローグ

 硬直した政治ととりとめのない反逆
 歴史はふたたびもとの位置に戻る
 内なる世界の戦争
 「不毛な興奮」に向かう近代的個人
 手に負えないほどの自由の重み
 「不安定な労働者」たち
 力と欺瞞のもとで成り立つ秩序

パンカジ・ミシュラ

パンカジ・ミシュラ(Pankaj Mishra) 作家、エッセイスト。英国王立文学会会員。1969年、インドのウッタル・プラデーシュ州に生まれる。アラハバード大学卒業後、ネルー大学大学院で英文学を専攻。現在、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、ニューヨーカーなどに寄稿している。主な著書に『アジア再興――帝国主義に挑んだ志士たち』(白水社)、Butter Chicken in Ludhiana (1995)、The Romantics (1999)、An End to Suffering (2004)、Temptations of the West (2006)、A Great Clamour (2013)、Bland Fanatics(2020)がある。

秋山 勝

秋山 勝(あきやま・まさる) 立教大学卒。日本文藝家協会会員。出版社勤務を経て翻訳の仕事に。訳書に、ローズ『エネルギー400年史』、ダイアモンド『若い読者のための第三のチンパンジー』、バートレット『操られる民主主義』、マカルー『ライト兄弟』(以上、草思社)、ウェルシュ『歴史の逆襲』、フォード『テクノロジーが雇用の75%を奪う』(以上、朝日新聞出版)など。